コミュニケーション

【令和版】人間の本質を捉えたマネジメントの基礎 〜人の本質を捉えたバイブル〜

人的資本経営に着目する企業が増え、マネジメント力の強化に投資する企業が増加しています。その背景には、従業員のモチベーション向上やパフォーマンスの最適化、離職防止などが課題としている組織が増えていることが考えられます。

それらの課題解決のマネジメントの手法として、1on1ミーティングやタスクマネジメントなどの手法を、実施している企業が増えてきました。これらは、マネージャーのコミュニケーションスキルに大きく依存しているのが現状です。

一方で、マネージャーの多くは、プレイヤーも兼任するプレイングマネージャーが多く、多忙を極め、マネジメントに時間を割くことが難しい懐事情の方が多いのはないでしょうか。

今回の記事では、人の本質に触れつつマネジメントに期待される思考や行動事例を紹介し、明日から生産性の高い取り組みにかわるような、ノウハウをまとめ記載しています。

やしくん

マネジメントは、管理職だけではなく社員全員が知っておく方がチーム力が向上するので、組織で働く人必見の内容です!

ここちゃん

相互にマネジメントに対する理解があれば、関係の質が高まりチームの生産性が高まりそうだよね

人間の本質を深掘り

”人”のマネジメントにお話をしていきますが、”人”とはの全体感の把握と、どのような性質と傾向を持っているか理解していきます。

まずは、マズローの欲求5段階説を用いて、解説していきます。

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マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの著書『人間性の心理学』で提唱した心理学理論です。人間の欲求を「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つの階層に分け、ピラミッド状に表現しています。

この理論では、下位の欲求が満たされることで、次の欲求を求めるという特徴があります。例えば、食べることに困っている人は生存欲求に意識が向くため、自己実現などの高次の欲求を追求することが難しくなります。

感覚的にも、下の欲求が満たされているから、次の階層を求めていることが理解できますね。会社員や公務員であれば、安全欲求までは満たされている前提で良さそうです。

マネジメントにおいては、第3層の社会的欲求から承認欲求、自己実現まで導く意識を持っていただくと、メンバーの成長やチーム力の向上を実感できます。

一番大切にしたい「信頼」とは

続いて、マネジメントに限ったことではありませんが、人との関係性が強くするためには「信頼」を得ることがとても大切な要素になります。なぜなら、人は感情を持つ生き物で、信頼の強弱により、個人の意思決定が変わる大きな要因だからです。

例えば、信頼度が高い場合は

やしくん

ここちゃんと一緒なら手を抜けず頑張れる!

ここちゃん

いつもやしくんが親切にしてくれるから、もう一踏ん張りして頑張ろう!

このようにポジティブな思考になりやすい

一方で、信頼関係が未熟の場合

やしくん

しんどい状況だな〜この程度のクオリティで仕事しておけばいいか⤵️

ここちゃん

なんでこんな辛い仕事任せてくるのか、自分の仕事を振るなよ😤

このようにネガティブ思考に陥ることがあります。だからこそ信頼を得るための要素と具体的な対策を学んでいくのをオススメしてます。

信頼を構成する3要素

信頼を構成する3要素として 「信ぴょう性」「論理性」「共感性」の3つがあります。
それぞれ解説します。

信ぴょう性

「人を信頼できるか」、「裏がないか」などの要素により評価される。

信ぴょう性を高めるためには、嘘をつかない、必ず約束を守る など誠実な言動が必要

論理性

「一貫性がない」、「身の丈以上の仕事をしようとする」のような振る舞いが増えるほど、論理性が低い人という評価に近づく。

論理性を高めるためには、「結論と根拠を関連づける」「物事の因果関係を見極める」身の丈に合うように「小さくはじめて大きく仕事を育てる」など論理的な矛盾や過度な逸脱のない言動が必要

共感性

「いつも自分のことばかり考えている」「最後まで話を聞いてもらえない」などの振る舞いは共感性がないと評価される。

共感性を高めるためには、「最後まで話を聞く」「全体最適で判断する」「自分のことは優先順位下げがち」など、自分より相手に寄り添う姿勢が多いほど共感性を高める 

信頼をなくしやすい状況

人は、ストレスに晒されている時に信頼をなくす行動をとりやすい特徴がある。
例えば、仕事の忙しさや緊急時対応、プライベートの問題など

ストレスの負荷に耐えきれず、他者への配慮を欠いた自分勝手な行動や発言が、信頼度低下の原因になる。対策として以下の3点をオススメしている。

マネジメント思考の意義

改めてマネジメント思考を学ぶ意義について整理します。

人の特徴として社会性の生き物である側面があります。そのため、生まれた時から何人も周りにいて、多くの人と関わって成長します。幼少期は、親のマネジメントで生活していますが、成長に伴い自らコントロールできる部分が増えます。

学校や部活、アルバイトなどあらゆる場面で、マネジメントの思考を持ち生活できれば、人間関係で不自由することが減っていくでしょう。

一方で、マネジメント思考を待たずに生活することは、他者に人生の主導権を握られること可能性が高まります。あの有名な名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな」は、他人を思うままにされるという意味で、自分の人生の主導権を他人に握らせるなという格言です。

理想や夢の実現を生きがいにしている人は多いのではないでしょうか。実現したい理想や夢を持っているなら、マネジメント思考を一緒に学びましょう

マネジメントに期待される役割の変化

カッツモデルを用いて、期待される役割の変化を説明します。「カッツモデル」とは、組織の管理者に必要な能力を3つに分け、管理者の役職ごとに、どの能力をどの程度身に付けておきたいかを階層化したものである。

トップ・ミドルマネジメントの管理職は、プレイヤーとして能力が高く、業務遂行能力(テクニカルスキル)を磨き続けてしまうケースが多く管理職はコンセプチュアルスキル(視座を高め中長期的な時間軸で考えるスキル)を磨くことをオススメしている。

ここで位置付けているトップマネジメントは、経営層は取り組むべきコンセプチュアルスキルを磨く。ミドルマネジメントは、現場マネジメントからトップマネジメントの間をつなぐ役割で、他者業務を遂行していくためのヒューマンスキルを身につけることが求められます。

管理職の役割の変化

時代の流れからマネジメント手法もアップデートが求められています。管理職の役割は、チームの力で仕事の成果を最大化させること。下記の表では、「これまで」と「これから」のマネジメントをまとめています。

上記のスライドでは、期待される役割、育成方法、コミュニケーションに分けて、過去と現在で求められるポイントを整理しています。

これからのトレンドは、対話による部下に合わせた個別対応力が求められます。

個人の力を最大発揮するため個別対応が主流となり、話を聞き対話から相互理解を深めることが重要視されています。また、育成についても、一人ひとりに向き合い伴走することで成長を促していくが求められます。

この背景には、人や時間の物量で成り立たせていたバブル経済から、限られた資源で効率よく成長することが求められる少数精鋭・多様化に対応する時代に変化したことが挙げられます。

多くの人と時間を費やす働き方から、多様な人と多様な働き方により価値提供の質向上を求められているのが現代です。

日本は、バブル時に得た成功を捨てきれれず「生存者バイアス」に囚われてきました。現在は、人の価値観や人数、時代など前提条件が大きく変化しているため、マネジメントの手法は変えざるを得ないことは念頭におきましょう。

プレイングマネジャーの難しさ:時間が足りない

ミドルマネジメント層の課題として、プレイヤー兼マネジメントで業務遂行している人が多いのが実情です。プレイヤーとしての機能も持つことから、業務遂行が優先され、マネジメント業務が後回しになりやすい課題を抱えています。

上記のマトリクスで仕事を整理してみましょう。縦軸の緊急度と横軸の重要度から右上の追われる仕事とは、締切の迫った仕事のこと。接客やトラブルなど、緊急度も重要度も高い

  • 入電や窓口対応、上司からの指示への対応
  • トラブルやクレーム、災害への対応
  • 会議や打ち合わせ時間の延長
  • Teamsのチャットへの返信/反応
  • 部下等からの「ちょっといいですか?」の相談

続いて、緊急度が低く重要度の高い仕事しては、以下の項目が挙げられます

  • チームワークやコミュニケーション
  • 部下との面談や研鑽/育成
  • 長期的な計画や予防/備え
  • 追われる仕事を生み出す原因への応対
  • 属人化した仕事の解消

1on1ミーティングという手法により効果が見込まれるのが、特に上の3つです。信頼関係が構築できているほど、いい仕事のできる環境が醸成され、長期的に成果を出せるチームが作れます。

ミドルマネジメント層がすべきこと

時間外の削減やエンゲージメント向上に向けて、ミドルマネジメント層が取り組むべき施策を紹介します。

  1. マネジメントとしての視座を持つ(例:2つ上の役職の意思決定を考える)
  2. 上司と相談しタスク量の調整を図る(例:庁内業務をやめる/部長にやってもらう)
  3. マネジメント業務のための時間を取る(例:週1回の1on1を予定表に入れる)
  4. 「自分でやった方が早い」から脱却し仕事を渡す

上記の4つが主に取り組みたいことで、上から実行することで、メンバーを成長させチーム力を高めることを目指したい。詳細は別記事で解説予定です。

1on1ミーティング
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管理職が果たすべき役割

続いて、マネジメントスキルが求められる管理職について解説します。管理職とは、働く人たちの能力を最大限に活かしてチームを機能させ、組織が果たすべき責任に貢献し、成果を出すといった役割を持ちます。

上記のスライドでは、成果を出す、働く人を活かす、社会的責任を果たすに分けて整理しています。

これらの内容が、管理職が果たすべき役割です。役割を果たすために、次のスライドで「考え方」について解説します。

管理職が持っているべき「考え方」

1つ1つの考え方を理解したうえでチーム(組織)のマネジメントを行う。これによって初めてチーム(組織)は成果を出すことができます。

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先ほど解説した「役割」を「人に関わる」「共通の価値観と目標を持つ」「組織とメンバーの成長を促す」「意思の疎通と個人の責任を確立させる」「成果を評価する」の5つに分解することで、具体的な行動に落としています。

特に「共通の価値観と目標」を示し、「組織とメンバーの成長を促す」ことに注力することで成果を出しやすくなります。詳細は、次のスライドで解説します。

管理職として強化すべき領域を見つける

管理職として強化すべき領域を確認するため、下記の設問に、すべて「私は」と主語をつけ、「できている」と考える項目にチェックを入れてみましょう。

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項目を領域ごと整理すると「人に関わる」「共通の価値観と目標」「組織とメンバーの成長」「意思の疎通と個人の責任」「成果を評価」の5つに分けられます。

下記に示す「人に関わる」や「共通の価値観と目標」から取り組むことが成功の近道です。

人に関わる項目は、対人関係の基礎となる「メンバーを知ること」「メンバー同士の関係性づくり」を図る項目です。

人は、「この人が言うならやってみよう」や「この人となら達成できる」などの組織効力感の高さが、チームの土台であるため、一番大切にしたい項目です。

共通の価値観と目標は、「目指すべき目標の明確化」に対し、メンバーに「チームの共通の価値観」を浸透させること、チームの目標に対する「個人の目標設定」が整理できていると成果に結びつきます。

関係性づくりと目標を定めたら、成果を上げるため、組織とメンバーの成長を促します。
メンバーの成長に必要な挑戦する機会提供や支援・フィードバックなど、人が成長できる仕組みづくりが必要です。

意思疎通と個人の責任は、成長を促しつつチーム力を高めるための取り組みです。
個人の能力を把握しつつ、メンバー同士が良好な関係性を保つことができるよう相互理解と感謝を伝え合うなど、関係の質を高めるための具体的な行動や習慣を仕組みとして設けると良い。

最後に成果を評価するについて、チームとメンバーの評価指標を共有していることを大切にしたい。また、成果について振り返る機会を設けていると次の高い成果につながる機会となるため、少ない時間でも設けてみましょう。

まとめ

組織は人の集まりです。だからこそ、人を大切にするマインドがマネジメントの第一歩と考えます。

そもそも人は、理解できないものに不安やストレスを感じるため、人に対する解像度を高めるため、人の性質から管理職の役割や考え方、具体的な手法まで解説させていただきました。

具体的な手法については、経験に基づいて成功や失敗のノウハウを積んでいます。今後まとめてお伝えしたいと思います。

今回は、人の本質から手法までお伝えしましたが、シンプルに「人を大事にする」ことがマネジメントの1丁目1番地と思っています。仕組みを作っていればある程度の力を発揮しますが、人の力を最大限発揮させるために、人と関係を作るところから始めてみましょう!

ABOUT ME
やし
1000人規模の会社で、経営戦略やDX、HR部門など経験。人間の持つ性質や心理学をもとにして、働き方改革や組織基盤を改革する業務に従事。学んだことを発信しています。